AIの成長を止めないために、地下水を守る。

AIがものすごい勢いで成長しています。
その裏側で、最近アメリカでは、ある資源が注目されるようになっています。
水です。
AIを動かすためには、大きなデータセンターが必要です。
その中では大量のコンピューターが24時間動き続けています。当然、ものすごい熱が出るので、それを冷やさなければなりません。
その冷却に使われているものの一つが、水です。
特に地域によっては、地下水が使われています。
第1回のnoteでも書きましたが、私はAIやデータセンターに反対しているわけではありません。
むしろ、長くITの世界にいた人間として、AIがこれから社会を大きく変えていくことを楽しみにしています。
だからこそ、
「AIが成長するために必要な水を、どうやって持続可能にしていくのか」
を考える必要があると思っています。

アメリカの地下水の専門家たちが出した声明

今年2月、アメリカの地下水の専門家団体であるNational Ground Water Association(NGWA)が、
「Data Centers and Groundwater Resources」
というポジションペーパーを発表しました。
https://www.ngwa.org/get-involved/advocacy/issue-data-centers-and-groundwater
その中でNGWAは、データセンターの建設そのものを否定しているわけではありません。
むしろAIやクラウドを支えるデータセンターを、現代社会に不可欠なインフラだと位置づけています。
そのうえで、
データセンターの成長と、地下水を守ることを両立させなければならない
と提言しています。
ここが、とても重要だと思いました。

「どれだけ水を使ったか」だけでは足りない

この提言を読んでいて、特に興味深かったのが「Transparency=透明性」です。
NGWAはデータセンターに対して、

  • どこから水を取っているのか
  • 年間・ピーク時にどれくらい取水するのか
  • どれくらい排水するのか
  • 実際に消費される水はどれくらいなのか
  • 冷却方式、電力、水使用量がどう関係しているのか

といった情報を、計画段階だけでなく、建設許可や実際の運用段階でも継続して開示するべきだとしています。
つまり、
「データセンターは年間○万トンの水を使います」
だけでは足りないということです。
大事なのは、
その水は、どこから来たのか。
そして、
その水を使い続けたとき、その地域の地下水や川はどうなるのか。
さらに、
干ばつになったらどうなるのか。
というところまで見ることです。

水は、地域によってまったく違う

これは水を考えるうえで、とても大切なポイントです。
同じ100万リットルの水を使うとしても、水が豊富な地域と、水不足の地域では意味がまったく違います。
地下水の流れも場所によって違います。
雨の量も違います。
地質も違います。
森も違います。
雪が降る地域もあります。
だからNGWAも、データセンターについては場所ごとに水資源と環境の受け入れ能力を調査する必要があるとしています。さらに取水だけではなく、周辺の利用者や地下水・表流水への影響を評価し、適切なモニタリングを行うことを求めています。
これは日本でも、これから非常に重要になってくると思っています。

「水を使わない技術」も進んでいる

もちろん、データセンター側の技術も進んでいます。
今回の資料では、地熱を利用した冷却も紹介されています。
地下に熱を逃がすクローズドループ型などを活用することで、データセンターの冷却に使う水を大幅に減らしたり、場合によっては消費的な水利用をなくしたりできる可能性があるとNGWAは指摘しています。
こういう技術は、これからもっと進んでいくと思います。
でも私は、それだけではないと思っています。

「使う水」と「育てる水」を一緒に考える

データセンターが水を使う。
だから節水する。
もちろん、それは大切です。
でも、もう一歩先に進めないでしょうか。
その地域では、そもそも水がどう生まれているのか。
雨が降る。
森に落ちる。
土にしみ込む。
地下へ入る。
時間をかけて地下水になる。
湧水として出てくる。
川になる。
だったら企業が、
「水を使う側」だけではなく、「地域の水を育てる側」にも参加する。
そんな仕組みを作れないだろうか。
これが、amenowaで考えていることです。

北海道・留寿都で、小さく始めています

amenowaでは、北海道の留寿都で、水の循環を見る取組を始めています。
雨を測る。
雪を見る。
地下水位を見る。
湧水を見る。
森を見る。
まず、
「この地域の水は、どう循環しているのか」
を知るところから始めています。
そして将来的には、森に手を入れたり、水が地面へ浸透しやすい環境を作ったりすることで、
人間が使う水と、自然が育てる水のバランス
まで見えるようにしたいと思っています。

AIと自然は、反対側にあるものではない

AIか、自然か。
私は、そういう話ではないと思っています。
AIはこれからもっと大きくなります。
データセンターも増えるでしょう。
だからこそ、
AIの成長を支えるインフラの中に、「水を守る」という考え方を最初から入れておく。
アメリカでは、その議論がすでに始まっています。
NGWAも今回の提言を、
「データセンターの成長と長期的な地下水保全を両立させることは可能であり、そして必要だ」
という考えで締めくくっています。
私もまったく同じ考えです。
テクノロジーを止めるのではなく、
テクノロジーが100年続くために、自然をどう守るか。
そして、
水を使うだけではなく、水を育てる。
これから毎週、海外で起きている「AIと水」「企業と水」「森と水」のニュースを追いながら、日本で何ができるのかを書いていこうと思います。

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